世界的にはデング熱の感染者数が増加傾向にあり、2024年4月末時点で760万人を超える感染者が報告されています。今のところ日本国内での同様の大規模な流行は報告されていませんが、これからの流行に注意が必要です。
たかが蚊だと侮らずに蚊に刺されないための対策や、蚊に刺されたときに役立つ知識、日本にいる蚊の種類などについて解説したいと思います。
蚊に刺されないための対策は?
①:蚊は二酸化炭素に集まってくる習性があります。蚊は二酸化炭素を感知する能力がとても高く、口の周りや触覚にあるセンサーは、5メートル以上離れた人の息に含まれる二酸化炭素をかぎ分けることができます。
そのため人の出す二酸化炭素炭素についてくるそうです。馬鹿みたいに思える対策ですが、ここ蚊が多いなと思う所は息を止めて通りすぎると蚊が寄ってこないそうです。マジで。
②:蚊は黒や紫などの色の濃いものに集まる習性があります。濃い色より白などの明るい色がいいそうです。
③:また足の裏を除菌シートで拭くと蚊に刺される数が3分の1に減ります。なぜなら足の裏、特に指の付け根の部分には非常に多くの常在菌が存在します。これらの菌が発する臭いが蚊を刺激し、誘引する原因となっています。
これは当時高校2年生だった田上大喜さんの“蚊”に関する研究で「蚊に刺されやすい妹を助けたい」という思いからさまざまな実験を始めた結果、田上さんは蚊が靴下に反応して吸血行動を起こすことを発見しました。
その結果蚊に刺されやすい人は蚊に刺されにくい人より“足の常在菌”の種類が多いことが判明したそうです。足の裏を清潔にすることが蚊を寄せ付けない秘訣です。
④:体温が高いと蚊に刺されやすいようです。これは蚊が体温を感知する能力を持っており、特に高温の部分に引き寄せられるためです。
体温が高いと上昇気流が生じます。この上昇気流は蚊にとって重要な手がかりとなり、蚊が人間に近づく際の指標となりこれが蚊を引き寄せる一因となります。
また、新陳代謝が活発な人や運動後、汗をかいた後など、体温が上昇する状況では蚊に刺されやすくなります。
汗をかいたときはこまめに汗を拭きとることが、蚊に刺されないための対策になります。
蚊に刺された時に役立つ知識
蚊に刺されているときには、絶対に手で潰してはいけません。蚊を潰すと、その血液や体液が皮膚に付着する可能性があります。これにより、皮膚に傷がついた場合や既に刺された部分に細菌やウイルスが入り込むリスクが高まります。
手で潰すことにより、刺された部分の炎症が悪化することがあります。蚊の唾液にはアレルゲンが含まれており、これが皮膚に広がることでかゆみや腫れが増す可能性があります。
蚊を潰したり、刺された部分を強く掻いたりすると、炎症後色素沈着が起こり、茶色いシミが残ることがあります。これは、皮膚が傷つき、その修復過程でメラニン色素が生成されるためです。
蚊に刺された場合の正しい対処法としては、以下の方法が推奨されます。
- 冷やす:刺された部分を冷やすことで、かゆみや腫れを軽減できます。
- かかない:かゆみが強くても、刺された部分をかかないことです。かくことで皮膚が傷つき、感染のリスクが高まり跡が残りやすくなったりします。
- 清潔に保つ:刺された部分を清潔に保ち、感染を防ぐために流水で洗浄することが重要です。
- 抗ヒスタミン剤の使用:かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン剤を含む軟膏を使用することが有効です。市販のかゆみ止め薬を利用しましょう。
これらの対処法を守ることで、蚊に刺されたときの不快感を最小限に抑え、感染や跡が残るリスクを減らすことができます。
冬なのに蚊に刺されるのはなぜ?
日本で人を刺してくる蚊は、ヤブカ類とイエカ類に分けられます。
ヤブカ類は、アウトドア派の蚊で、外に出た時に刺される「ヒトスジシマカ」が代表種となります。
イエカ類は、インドア派の蚊で、家の中に入ってきて刺すタイプです、代表種は「アカイエカ」と「チカイエカ」の二種類です。
これらの種類は、それぞれ冬の過ごし方が異なります。
①:アウトドア派の「ヒトスジシマカ」は寒さに弱いので、成虫では冬を越すことができません。
通常はすぐに孵化できる卵を産むみますが10月に入り日照時間が短くなり、冬が来ることを察知すると5度以下の低温で一定期間過ごさないと孵化しない休眠卵を産みます。
この卵は、乾燥に強いので卵の状態で冬を越し、春になって暖かくなった4月ごろになると雨が降った時に孵化します。そして5月くらいから成虫が活動を始めます。
吸血する時期は5月~10月です。
②:インドア派の「アカイエ蚊」は成虫で越冬します。冬を越すのはメスだけです。オスは冬の間に死んでしまいます。
秋になると、薄暗くて一定の温度のある場所でメスが越冬します。屋外では、下水溝や家屋の床下などにも潜んでいます、屋内の押入れや玄関の下駄箱の中でひっそりと冬を越していることもあります。
春になり桜の花が咲く頃には越冬から覚めた成虫が活動を始めます。産卵に必要な栄養を求めて吸血し、水のあるところに産卵します、初春に蚊に刺されたときは、アカイエカが多いです。
吸血する時期は4月~11月です。九州など暖かい地域では1月頃まで見られることもあります。
③:あまり知られていないのですが「チカイエ蚊」という蚊は冬でも活動しています。ビルの地下や地下鉄の地下水槽や浄化槽などの水がたまったところで発生します。
地下は常に暖かく、湿度も高く、幼虫や蛹が育つための水があることから冬でも繁殖でき活動しています。
チカイエカの特徴は、最初に産む卵は吸血しなくても産卵できる(無吸血産卵性と言います)ということです。ただ、2回目以降の産卵は吸血が必要なので、地下から地上に移動し、人家などに入って吸血します。
チカイエカは、北海道から沖縄県まで全国で確認されています。都市の地下の浄化槽や地下鉄の側溝などで発生し高層ビルが増えている地域では多くなっていると考えられます。
吸血する時期は一年中です。冬に蚊に刺されたらそれはほぼ間違いなくチカイエカの仕業でしょう。
冬の間の蚊は死んでしまったわけではなく、卵や成虫で寒い冬を過ごしています。冬でも蚊に刺されることがあるので気をつけてください。
蚊は一年中活動しており種類によって越冬方法が異なります。蚊に刺されないために日頃から注意し、上記の対策を心掛けることが大切です。