最近、都市部を中心に「殺風景スーパー」と呼ばれる新しいタイプのスーパーが急増しているのをご存知ですか?
「虚無のショッピングゾーン」「都民への罰」なんて辛辣な声もある一方で、実は多くの人が「ないと困る」と支持しているんです。
イオン系の「まいばすけっと」を筆頭に、セブンイレブンやトライアルまでもが参入を始めているこの業態。一体なぜこんなに広がっているのか、
- 殺風景スーパーの特徴とは
- 支持される理由は
などを詳しく解説!
殺風景スーパーの特徴とは?従来型スーパーとの決定的な違い

殺風景スーパーの最大の特徴
その特徴は徹底的に効率化を追求した店舗運営にあります。
従来型のスーパーでは当たり前だった「インストア加工」、つまり店舗内で肉や魚をパック詰めしたり、惣菜を調理したりする作業を一切行いません。
代わりに、「まいばすけっと」ではイオンの流通加工センターなどで小分け・パック詰めした商品を配送し、店舗では並べるだけです。
従来型スーパーとの主な違い
- バックヤードがほぼない:店舗の大半を売場として使用
- 鮮度アピールの放棄:センター集中処理で効率化。
- 小型店舗:コンビニ跡地にも出店可能な規模
- 画一的な品揃え:どの店舗も同じような商品構成
まいばすけっとを例に取ると、2025年2月期で店舗数1204店、売上高2903億円まで成長。2018年からの7年間で売上を1500億円も伸ばし、規模がほぼ倍になっています。
殺風景スーパーが支持される3つの理由
理由1:圧倒的な「近さ」と利便性
都市部では高齢化が進み、買い物の移動距離を短くしたい消費者層が大幅に増加しています。殺風景スーパーは、鮮度や品揃えよりも「近さ」を最優先した業態です。
実際の利用者からは「個人的に便利だし重宝してます」「ないと困る」という声が多数あります。
バス停ごとにできる感じで増えているので、ちょっとした買い物にコンビニ感覚で使えるのが魅力です。
理由2:割り切った価格設定
「お弁当など決して美味しくはないが価格は安い」「鮮度や質を求めてない」——利用者のコメントを見ると、品質よりも価格を重視してある程度割り切っている様子がうかがえます。
物価高の時代、「別に日常の買い物にそこまでワクワク感も求めてない」という現実的な消費者ニーズにマッチしています。
理由3:時短ニーズへの対応
大型スーパーだと、店内に入って商品を探し、レジで会計して出るまで結構時間がかかります。でも殺風景スーパーなら、ほぼコンビニみたいな感覚でサクッと買い物が完了。
「効率性を求めて都市部に住みたがる現代人と相性がいい」という指摘の通り、時間を大切にする現代のライフスタイルにぴったりです。
従来型スーパーとの違いが生む業界再編
実は、この殺風景スーパーの台頭は、スーパー業界全体の構造変化を示しています。
コロナ後の「人件費高騰」「光熱費高騰」「価格転嫁の困難」という三重苦の中で、労働集約的なインストア加工を継続するのは難しくなっています。
今後さらに深刻化する人手不足を考えると、センター集中加工方式への転換は「不可避」です。
イオンは2030年までに「まいばすけっと」を現状の倍規模となる2500店に増やす計画です。
これが実現すれば、売上も6000億円規模になり、ヤオコーやオーケーに匹敵する大きさになります。
まとめ・殺風景でも時代が求める新業態
殺風景スーパーは、確かに「楽しい買い物体験」とは程遠いかもしれません。
しかし高齢化、物価高、人手不足という現代日本が抱える課題に対する、現実的な解答です。
「近さ」「価格」「時短」という3つの価値を提供することで、多くの消費者から支持を集めています。
今後、セブンイレブンやトライアルなど各社の参入で競争が激化すれば、サービスの質も向上していくかもしれません。
時代の変化とともに、私たちの買い物スタイルも変わっていく——殺風景スーパーの増加は、そんな現実を映し出しているのかもしれません。